漢方薬 中医師 漢 方

心血虚・心陰虚;心の陰液の不足による症候で、主に精神不安があり、心拍動の異常があり、一般的な血虚・陰虚の症候が見られます。中枢の抑制過程の低下・自律神経系の過亢進・心筋の代謝異常などによる症候と考えられます。

慢性病による栄養不良や脱水・発熱性疾患・出血・精神的な原因などに続発して生じる事が多いです。
【主症状】
心血虚:寝つきが悪い・よく目がさめる・夢をよくみる・朝早く目がさめる・驚きやすい・不安感・悲しい・健忘・眩畳・ふらつくなどの精神神経症状が主で、これに動悸が伴うことが多いです。顔色が冴えない・舌質はやや淡白・脈は細弱。
心陰虚:心血虚の症候に、のぼせ・いらいら・手足裏のほてり・口や咽のかわき・寝汗・舌質は紅で乾燥・脈は細数などの熱症(虚熱)があらわれます。
【論治】
心血虚には補血安神剤、心陰虚には滋陰安神剤。丹参・熟地黄・当帰・竜眼肉などの補血薬、浮小麦・柏子仁・百合・麦門冬などの補陰薬を主とし、鎮静効果のある酸渠仁・遠志・決神・夜交藤などの補血安心あるいは、朱砂・磁石・真珠などの重鎮安神薬を補助的に加えます。熱症が強いときは黄連・山楯子・知母・淡竹葉・蓮子芯などの静熱薬を加えます。
【代表方剤】
心血虚には、
●補血剤…四物湯に酸棗仁・拍子仁・挟神などを加えるか、
●補血剤…帰脾湯・遠志湯・●滋養安神剤…甘麦大棗湯などを加えます。
心陰虚には、
●滋養安神剤…天王補心丹などを用い、
熱症が強い時は、 ●滋養安神剤…酸棗仁湯を用いるか、
●重鎮安神剤…朱砂安神丸を用います。