漢方薬 中医師 漢 方

心気虚・心陽虚;心の陽気の不足による症候で、一般的な気虚・陽虚の症候がみられると同時に、循環障害・心拍動の異常・中枢神経系の興奮性低下などの症候が現れます。

慢性病が続いて体力が消耗した場合、先天性の虚弱証、老化あるいは精神的素因や感染症などに続発することが多いです。また、循環障害に伴い血オ・痰飲によって循環障害をきたすこともよくあります。
全身的な衰弱・神経衰弱・心臓神経症・不整脈・冠不全・狭心症・心筋梗塞・心臓弁膜証などがみられます。
【主症状】
心気虚の場合:
●動悸・息切れ・胸が苦しい・倦怠無力感があり、動くと増強します。
●顔色は淡白あるいは蒼白・不安感・眩量(めまい)感・冷汗。
●舌質は淡白。
●脈は遅で細弱あるいは結代などがみられます。
●甚だしい時は胸内苦悶・心臓部の痛みが生じます。
心陽虚の場合:
●心気虚の症候以外に、四肢の冷え・寒気・顔面蒼白・チアノーゼ。
●舌質は騨大あるいは青紫。
●脈は細弱あるいは結代がみられます。
●多くの場合、同時に胸内苦悶・狭心痛が見られます。
●血オを伴うときは、口唇・爪・舌の青紫色が顕著で、激しい狭心痛・胸内苦悶が生じ、脈は結代します。
【論治】
治法は、
心気虚には補益心気
心陽虚には温通心陽です。
災甘草、人参、党参、黄著などの補気薬、桂枝、附子などの温通薬を主とし、丹参・酸条仁・遠志・決神などの養血安神剤を補助的に加えます。
血オには、蒲黄・五霊子・丹参・延胡索・紅花などの活血化オ薬を、痰には活楼仁・藍白・半夏・陳皮などの化痰通陽の薬物を加えます。
【代表方剤】
心気虚には、
●補血剤…灸甘草湯・養心湯など。
心陽虚には、
●補気剤…保元湯などを用います。
血オの時は、
●活血化オ剤…失笑散などを加えます。