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気;生命エネルギーを表し、心身の活動に影響するものです。体内を流れるエネルギーの一種といえます。消化、吸収、排泄を正常に行う、体内中の血を巡らせる、体温を正常に保つなどの働きをします。精神症状の強い人は「気」の流れが体内で停滞したり、減少して起こるといわれています。
体の機能をコントロールする精微物質です。「気」とは見えないけれど実体のある”物”です。

気の機能
○推動作用
生長と発育、臓腑や経絡、組織などの生理活動、血液循環など生命活動に関わるすべての機能を押し進める働きがあります。
○温く作用(おんくさよう)
血液循環やエネルギー代謝などを行い体温の維持調節を行います。
○防御作用
外邪(病原菌など)の体内への侵入を阻止し、侵入してしまった外邪を攻撃、排除するように働きます。
○固摂作用
血液が脈管外へ漏れ出さないように統制し、汗、尿、精液などが異常に漏れないように統制します。
○気化作用
津液(体液)を汗や尿に変えたりする一連の物質転化を行います。

●人の体は気が集まってできている
「気」は、高性能の電子顕微鏡を使っても見ることができません。また、電気や熱エネルギーのように数値化できる計測手段も、今のところは存在しません。そのため、現代医学では無視されていますが、中医学では非常に重要な要素です。
「気」のイメージをつかむためには、もう一度中医学の原点である中国思想に戻って考えてみる必要があります。 中国思想では大宇宙を「太極」といい、太極には「気」が満ちているとします。地球上の「空気」ではなく、宇宙全体だからあくまでも「気」.です。
さらに、気の分布には希薄な部分と密な部分があり、密な部分が物体を構成しているとします。地球そのものも、木も花も動物も人間も。つまり、人の体は気が集まってできているというわけです。
人全体が気でできているのなら、血と津液は何かとの疑問も湧きますが、ここで「天人相応」が出てくるのです。
大宇宙の気は陰陽に二分して変化していますから、小宇宙である人の気も、陰と陽に二分されます。二分したもののうち、物質性が低くて運動性の高いものを「陽」、逆に物質性が高く運動性の低いものを「陰」とし、陽の部分を気、陰を血・津液としているのです。
気・血・津液を完全に分けて考えてはいけないという理由の一つはここにあります。元は同じ太極の「気」なのです。

●気の作用と種類
中医学では人体の気の働きについて、次の6種の作用があると考えています。
○気の生理作用○
@栄養作用…人体各部を栄養する。
A推動(すいどう)作用…臓器や血液の流れを良くする。
B温照(おんく)作用…臓器などを温める。
C防御作用…病邪と闘う。
D固摂(こせつ)作用…異常な発汗や出血を抑える。
E気化作用…血・津液などの流れを良くする。
ここで注目してほしいのが、気が一般に考えられているよりもはるかに実体のある「物」としてとらえられていることです。電波や熱のようなものではなく、運動性を持った物質なのです。物質だから栄養を含むことができるのだし、体内で足りなくなったり(気虚)、溜まったり(気滞)するのです。
気功師は病人から悪い気を取り去ったり、気が不足している人にあげたりします。これは、気に物質性があるからこそできることなのです。
○気の種類(7種類)○
科学的に確認できなくても「気」はさまざまな種類と多くの働きがあります。この「気」の概念をしっかりとらえないと中医学は理解できません。
人の体内の気は1種類ではなく、どういう作用を強く示すかによって、主に4つの種類があります。
@宗気(そうき)…推動作用が強い。
A営気(えいき)…栄養作用が強い。
B衛気(えき)…防御作用が強い。
C元気…成長促進、活力を旺盛にする作用が強い。
このほかに、
D正気(せいき)…病気(邪気)に対抗する機能(免疫力、抵抗力、治癒力など)を指す。
E経気(けいき)…経絡の経脈を流れている。
F臓腑の気…腎や肺といった内臓の機能をコントロールする。(臓腑ごとに腎気、肺気などという)があります。