※漢方薬(中成薬)をよく知るためには、生薬の基本的な性質や効能に関する薬性理論を理解することが大切です。
大分類 | 中分類 | 中分類説明 | 生薬名 | 備考 |
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10.解表剤 |
辛温解表剤 |
温めながら解表する |
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辛涼解表剤 |
冷やしながら解表する |
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12.瀉下剤 |
攻下薬 |
比較的強い瀉下作用の中薬 |
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潤下薬 |
腸を潤して下す作用の中薬 |
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峻下逐水薬 |
激しい瀉下作用の中薬 |
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14.清熱剤 |
清熱瀉火薬 |
気分の熱を除去する中薬 |
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清熱燥湿薬 | 乾燥しながら熱を除去する中薬 | |||
清熱涼血薬 |
血中の熱を除去する中薬 |
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清熱解毒薬 |
熱毒を解毒除去する中薬 |
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清虚熱薬 |
虚性の熱を除去する中薬 |
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16.芳香化湿薬 |
湿邪を乾燥させ、脾胃の働きを改善する中薬 |
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18.祛風湿薬 |
風湿(風邪+湿邪)が侵襲して起こる肢体の痛みに対して用いる中薬 |
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20.利水滲湿薬 |
水液代謝を調節し不要な水分を排泄する中薬 |
→痰湿体質 | ||
22.祛暑薬 |
夏の暑さ(暑熱)を除去する中薬 |
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24.温裏薬 |
体内の冷えを除去する中薬 |
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26.理気薬 |
氣の運行を調節する中薬 |
→気滞体質 | ||
28.消食薬 |
積滞した飲食物を消化し、胃腸機能を回復する中薬 |
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30.止血薬 |
止血作用のある中薬 |
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32.活血化瘀薬 |
血行を促して瘀血を除去する中薬 | →瘀血体質 | ||
34.化痰止咳平喘薬 |
温化寒痰薬 |
寒性の痰を除去する中薬 |
→痰湿体質 | |
清化熱痰薬 |
熱性の痰を除去する中薬 |
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止咳平喘薬 |
咳や喘息を止める中薬 |
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36.安神薬 |
精神を安寧させる中薬 |
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38.平肝熄風薬 |
風症状(痙攣・眩暈(めまい)など)を止める中薬 |
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40.開竅薬 |
精神を覚醒させる中薬 |
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42.収渋薬 |
体内から漏れ出るものを止める中薬 |
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44.補虚薬 |
補気薬 |
氣を補う中薬 |
→氣虚体質 | |
補陽薬 |
陽気を補う中薬 |
→陽虚体質 | ||
補血薬 |
血を補う中薬 |
→血虚体質 | ||
補陰薬 |
陰液を補い、虚性の熱を制御する中薬 |
→陰虚体質 | ||
99.その他 |
中医学の分類に入らない生薬 |
1.【神農本草経】(西暦112年)
中医薬学の基礎となった書物です。植物薬252種、動物薬67種、鉱物薬46種の合計365種に関する効能と使用方法が記載されています。
※神農:三皇五帝のひとりです。中国古代の伝説上の人といわれます。365種類の生薬について解説した『神農本草経』があり、薬性により上薬、中薬、下薬に分類されています。日本では、東京・お茶の水の湯島聖堂 »に祭られている神農像があり、毎年11月23日(勤労感謝の日)に祭祀が行われます。
2.【本草経集注】(西暦500年頃)
斉代の500年頃に著された陶弘景(とうこうけい)の『本草経集注(しっちゅう)』です。掲載する生薬の数は、『神農本草経』(112年)の2倍に増えました。
松溪論畫圖 仇英(吉林省博物館藏)
陶弘景(456~536年)は、中国南北朝時代(420~589年)の文人、思想家、医学者です。江蘇省句容県の人です。茅山という山中に隠棲し、陰陽五行、山川地理、天文気象にも精通しており、国の吉凶や、祭祀、討伐などの大事が起こると、朝廷が人を遣わして陶弘景に教えを請いました。
そのために山中宰相と呼ばれました。庭に松を植える風習は陶弘景からはじまり、松風の音をこよなく愛したものも陶弘景が最初です。
風が吹くと喜び勇んで庭に下り立ち、松風の音に耳をかたむける陶弘景の姿はまさに仙人として人々の目に映ったことでしょう。
3.【本草項目】(西暦1578年)
30年近い歳月を費やして明代の1578年に完成された李時珍(りじちん)の『本草項目』です。掲載する生薬の数は、約1900種に増えました。
『本草綱目』は、1590年代に金陵(南京)で出版され、その後も版を重ねました。わが国でも、徳川家康が愛読したほか、薬物学の基本文献として尊重され、小野蘭山陵『本草綱目啓蒙』など多くの注釈書、研究書が著されています。
本草綱目は日本などの周辺諸国のみならず、ラテン語などのヨーロッパ語にも訳されて、世界の博物学・本草学に大きな影響を与えています。
儒者・林羅山(1583~1657年)の旧蔵書
李時珍(1518~1593年)は、中国明時代(1368~1644年)の中国・明の医師で本草学者。中国本草学の集大成とも呼ぶべき『本草綱目』や奇経や脉診の解説書である『瀕湖脉学』、『奇経八脉考』を著した。
湖北省圻春県圻州鎮の医家の生まれです。科挙の郷試に失敗し、家にあって古来の漢方薬学書を研究しました。30歳頃からあきたらくなって各地を旅行し調査したり文献を集めたりはじめます。ついに自分の研究成果や新しい分類法を加え、30年の間に3度書き改めて、1578年<万暦6年>『本草綱目』を著して、中国本草学を確立させました。
李時珍、生家にて »
4.【中医臨床のための中薬学】(西暦1992年)
現在、私が使用している本草の辞典です。生薬の記載個数は、約2,700種に増えました。
神戸中医学研究会の編著です。