伝統医学を本格的に学ぼうとする人にとって、薬草個々の古典的解説書となれば、まず『本草綱目』(生薬学の教科書)をあげねばならないです。
中国では古来、医薬の学を“本草”と称し、薬のもととなる多数の植物、動物(人も含む)、鉱物からの医薬品をいい、本草の学問を“本草学”といっています。
中国の薬物書は内容が豊富であり、その最古のものは、後漢の時代にできたという『神農本草経』であり、6世紀に梁の陶弘景が校訂したものが後世に伝わっています。
『本草綱目』は、明の李時珍(1518〜1593)によって書かれたもので、彼は、中国医学が世界に誇る薬学者の一人で、一開業医として生涯を送りましたが、本草学に異常な興味を抱き、全国を採取旅行して研究材料を集め、27年がかりで完成したのが『本草綱目』全52巻の大著です。