●胆胃不和による痰熱証
中医学では、「肝と胆」という「臓と腑」は、共同で全身の気の流れを調節するコントロール・センターのような役割を果たしていると考えています。
この調節機能が何らかの原因で阻害されると、体内の気の流れが滞ってしまいます。これがこの証の出発点です。原因としては、主に、
①精神的なもの(怒り・ストレス・心配事・考えすぎなど)
②飲食によるもの(暴飲暴食・酒や茶の飲みすぎ・油っこいものや甘いものの摂りすぎなど)
③外邪によるもの(おもに湿熱の邪気や暑湿の邪気)
肝も胆も、中焦(躯体を上・中・下の3部に分けた場合の中部)に位置しています。肝胆の気の流れが滞ると、まずは、同じ中焦にある脾胃の生理活動に影響します。
中医学がいう脾胃とは、主に消化機能を指しているので、脾胃の機能がおかしくなると、消化・吸収がうまくいかなくなります。その結果、体内に湿気が生じます。
次には、この湿気によってさらに気の流れが阻害されます。こうして一定の時間が経過すると、気の滞りによる熱が生じ、湿気が「湿熱」に変わり、熱で湿気が濃縮され、さらに「痰熱」へと変わっていきます。
こうして生じた「痰熱」は、さらにほかの部位に影響し、さまざまな痰患を生む原因となっていきます。
不眠・神経症の方
痰濁の除去・胃腸の保護・鎮静/胆胃不和による痰熱証治療の名方剤/脾胃の湿熱/痰熱壅肺
自律神経失調症、更年期症候群、不眠症、心臓神経症、脳動脈硬化症、慢性胃炎などで痰熱上擾を呈する方
●悪心、嘔吐。
●いらいら。
●口が苦い。
●不眠。
●驚きやすい。
●動悸。
●多痰。
●胸苦しい。
●めまい。
●てんかん発作。
(source)
西暦655年 唐時代 『備急千金要方』 孫思? 略して『千金方』ともよばれ医学全書の嚆矢となった書です。人命は千金よりも貴いものであり、一つでも人命を救う処方を世に伝えることを医の使命と考えて、千金方と名づけたと言われています。著者の孫思?(そんしばく)は、神仙家いわゆる仙人であったため、その医学思想は内経系思想のほかに、神仙医学を加え、また仏教医学も加味されています。→処方使用期間:1352年間
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証(症状・体質)判定を望む方は
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※この判定のために、AI(人工知能)のエキスパート・システムを構築しました。
次の症状のいくつかある方は、本方剤が良く効く可能性が大きいです。
…消法:消食導滞・散結消堅の効能により、気・血・痰・食・水・虫などが積聚した有形の滞結を徐々に消散させる治法です。
【中薬大分類】祛痰剤…固まった水液である痰を除する方剤です。きょ痰薬を主体にし、痰を排除・消解したり、各種の痰病に効果のある方剤です。
【中薬中分類】清熱化痰剤…熱性の痰を除去する方剤です。熱痰に使用します。熱痰は、邪熱内盛により津液が煎熬(汁が無くなるまで煮詰めること)されて生じ、甚だしいと鬱して化火することにより痰火になります。
裏熱虚(りねつきょ) …証(体質・症状)が、裏証(慢性)、熱証(熱痰)、虚証(体力・胃腸機能低下)の方に適応します。
【気血津・臓腑証】
痰熱上擾(たんねつじょうゆう)…
痰熱内擾(たんねつないゆう)…
【証(病機)】胆胃不和・痰熱内擾(たんいふわ・たんねつないゆう)
清化熱痰、和胃降逆、理気化痰、清胆和胃・清熱
・和胃降逆(わいこうぎゃく)…胃の機能が失調し、気が下降できず嘔吐や吐き気、胃痛が起こったときの治療法です。
・理気(りき)…理気:気の流れを良くすることです。気(氣)を正常に巡らせ機能を回復する治療法です。
・化痰(けたん)…痰を除くことです。
・痰熱証病(たんねつしょうびょう)…咳嗽の特徴は、咳、痰が黄色くて粘調です。
本方剤の適応する使用目標は次のとおりです。
●胃腸の弱い、胃アトニー症や胃下垂のあるような方。
●高熱、大病のあとで、胃腸の機能が衰えた人などが、元気が回復せず、気が弱くなって些細なことに驚いたり、少しのことで胸騒ぎし、息が弾んだり、動悸がしたりし、気分は憂鬱で、よくは良く眠れない方に用います。
●たまたま眠れば無意味な夢ばかりみていて、起きてから熟睡感、睡眠による満足感が少しもなく、自然に汗がであり、盗汗(寝汗)があったり、頭から汗が出やすかったりする場合。
●食欲はなく、吐き気や川絵好きが起こることもあり、腹証としては、心下部の腹水音や、臍傍の動悸などを認めます。
【温胆湯の症例・治例】…次の症例に近い病症の方は、本方剤をお奨めします。
〈不眠症〉 愛知県津島市。80歳/男性。寝つきが悪く、他店で酸棗仁湯を勧められて服用したが効果がない為、相談に来られた。身長165cm、55kg。体質は疲れやすく、血圧が高い。胃がつかえる。小便が近い。 温胆湯を1日2回朝晩に服用していただいた。服用して2週間で寝つきが良くなってきたとの事。現在も継続服用中である。他に胃腸薬を併用している。 ・現代病名:不眠症 |
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〈不眠〉 福島県南相馬市。年齢/38歳。性別/女性。眠れないとの事で睡眠薬を買いに来られた。身長155cm、体重40kg、痩せ型で貧血気味、胃弱のようだった。 胃弱に対して、昼に参苓白朮散料を、不眠に対して夜に温胆湯を各1週間分服用していただいた。1週間後来店され、よく効いて眠れるようになったと喜ばれ、現在も継続して服用中である。 ・現代病名:不眠症 |
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〈不眠症と悪夢〉 30歳の女性。10年前より頑固な不眠症に苦しみ、現在もなお生きた屍のようであると嘆いている。顔色は蒼白で、痩せ衰え、弛緩性体質で胃下垂症といわれていた。2年前より頑固な耳鳴りが加わり、不眠と耳鳴りに攻められて生きた心地がないという。 この患者の不眠の状態をよくきいてみると、眠りかけたと思うと、たちまち恐ろしい悪夢におそわれる。あらゆる恐ろしい場面が次々と展開し、それこそ地獄図絵のような夢が連続し、驚きと恐れで目がさめると、その恐ろしさで眠れなくなるという。あらゆる種類の睡眠薬、持続睡眠療法、電撃療法も効なく、信仰団体にも入ったが、この6年間、1日といえども安眠のできる日がなかった。 脈腹ともに軟弱で、胃内停水を認め、温胆湯加黄連・酸果仁を与えたところ、数日後に効果があらわれ、1カ月後には耳鳴りも軽くなり、全く別人のようになった。服薬数カ月、その間に不眠のこともあったが、大体において10年来の悩みから解放され、夫とともに渡米し、大学に通っているという便りが来た。 ・現代病名:不眠症 |
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〈不眠症と鬱病〉 43歳の男性。2~3年前から胃のぐあいがわるくて気分がすぐれず、不眠に悩むことが多かった。1年前転居してから、よくよく神経質になり、気分が引き立たず、憂欝となり、不安と不眠に苦しむようになった。あらゆる治療をしたが好転せず、神経科で鬱病といわれた。 一見するとそれほど痩せてはいないし、顔色も悪くはない。心下部播え、膀傍の動悸が冗ぶっている。これに温胆湯加黄連・酸棗仁(各1.0)を与えると、1週間日ごろから心に落ちつきが出て、よく眠れるようになった。 前後三カ月間服用したが、胃症状もすっかりよくなり、体重も増加して堂々たる恰幅(かっぷく)となり、不眠と憂鬱の苦しみから解放された。 ・現代病名:不眠症・鬱病 |
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〈不眠と健忘症〉 51歳の新派の俳優。2年ほど前から胃のぐあいが悪く、全く空腹感というものがなくなってしまった。それは不眠症をまぎらすため、毎朝睡眠薬を酒で飲むくせがついてからのように思うといっている。 最近では頭がぼんやりして、舞台でせりふを忘れるようになった。また妙に気おくれがして、名優と相対して舞台に立つと、上気して口が乾いて、おどおどして動悸がする。いままでこんなことは絶対になかったのに、なんとしても押えることができないという。この調子では舞台も勤まらないといって、すっかり悲観していた。 痩せ型で顔色は普通、心下部に少し抵抗がある。温胆湯加減を与えると、睡眠薬をのまなくてもよく眠れるようになり、胃の症状も大変よくなり、1カ月後には不眠症と健忘症と不安感がすっかりとれたといってよろこばれた。 ・現代病名:不眠・健忘症 |
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温胆湯は二陳湯に竹ジョ・枳実を加えたものです。二陳湯は胃アトニータイプの虚弱者の悪心・嘔吐を治す方剤(言い換えれば降性の方剤)ですが、これに降作用(鎮静作用)の強い竹ジョ・枳実が加わることによって、温胆湯は同体質者の神経のイライラを治す方剤と規定できます。
※神農:三皇五帝のひとりです。中国古代の伝説上の人といわれます。365種類の生薬について解説した『神農本草経』があり、薬性により上薬、中薬、下薬に分類されています。日本では、東京・お茶の水の湯島聖堂に祭られている神農像があり、毎年11月23日(勤労感謝の日)に祭祀が行われます。
●不眠に |
病症症状 | 合方 | 備考 |
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歩行に困難を来たすほどのふらつきの場合 |
温胆湯+半夏白朮天麻湯 » |
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不眠と憂鬱(ゆううつ)、いわゆる鬱病(うつびょう)の場合 |
温胆湯+四逆散 » |
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