●排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう) 疼痛を伴う化膿性の腫れ物、癰(ヨウ)、膿瘍(ノウヨウ)、中耳炎、痔瘻!
〈風邪の後の鼻水〉
20代後半の女性。
アレルギー性鼻炎で漢方薬を約1年服用し、症状がかなり軽減し、今では、季節の変わり目などに調子をくずした時に服用する程度の方。1ヶ月程前にかぜをひき、鼻水だけが今だに止まらないという。粘り気のあるイやな色のついた鼻水で、いろいろと試したが、どうにも治らないという。顔色もよく、食欲もあり、他に症状がみられないことから、排膿散及湯を投与したところ、5日分の服用で、すっかりよくなったと報告を受けた。
〈歯茎の腫れ〉
20年間ほどの間、抗生剤の全盛期があり、化膿性疾患に無差別に使われてきた。しかし、やや安易な使い方のせいか、以前ほどはっきり効かない場合があり、副作用を恐れて漢方薬の指定が増えてきた。そんな一例である。当薬局の従業員で46歳女性。
小柄で中実証。病気はあまりしたことはないが、ときどき歯茎が腫れて硬い物が噛めなくなる。最初は、排膿散及湯1包2gを1日3〜5回服用、4、5日で歯痛は収まった。次第に痛みの初期から使うようになり、2日ぐらいで治るようになった。そして、最近はほとんど痛みは起きなくなった。これは、他の人でも同じで、ごく初期に用いてすぐ治り、そのうち起きなくなることが多い。繰り返す子供の急性鼻炎でも同じような経過をたどることが多い。
〈臀部膿瘍〉
体重17sの5歳の男子。
臀部の筋肉注射部位が一週間後に化腹し、眼瘍を形成したとして昭和58年3月16日に初診した。眼点を確認し排腹散及湯エキス4gを単独で分2投与した。2目して全体に縮小してきた印象があり、1週間後には小硬結を触れるのみとなった。排膿せず吸収されてしまったようで2週間で廃薬した。
〈指先化膿症〉
20歳の女子。
ある日右手人さし指を腫らし、痛み則しく、一夜まんじりともできずという。排膿湯を与えたところ、一貼にて痛み去り、腫れ引き、その晩は安眠することができ、翌日一剤を用いて全治した。
〈肛門膿瘍〉
体重8.9sで、生後8ヶ月の男子に発した肛門膿瘍である。肛門側外方に発赤した腫瘤に母親が気づいて来院した。
初診は昭和57年12月12日である。食思は良好、発熱はなく、いまだ排膿していない。
排膿散及湯エキスのみ2gを分二投与したところ、3日目に排膿した。計7日で廃薬し、以後再発をみない。
〈物を噛むと歯茎にあたり、腫れる〉
噛み合わせが悪く、物を噛んだ時に歯茎にあたる人では、歯茎が腫れ、まるで入歯をしたような感じになることがよくある。そのような時に、排膿散及湯は、著効を示す。服用するのは早ければ早い程よい。通常は3〜5日もあれば完治する。よほど激化していても1週間から10日もあれば大丈夫である。
〈頬まで腫れて痛い〉
65歳、女性。
歯茎の腫れが激しく、頬の当たりまで腫れて痛い。排膿散及湯を1日約15錠服用したところ、約1週間で腫れがひきました。その後も服用を続け、現在3本目を服用中です。