●四物湯(しもつとう) 貧血をはじめ、各種婦人科系疾患を治す聖薬!
〈めまい、立ちくらみ〉
女性37歳。身長150p。体重48s。2児の母。
帝王切開にて出産。主訴は眩量、立ちくらみですが、その他に頭痛、耳なり、左右の肩こり、動悸、背痛、乾嘔、時々の頻尿、太ももだけの冷や汗、足の冷え等がある。当然のように生理不順と精神不安が見受けられ、さながら病気の問屋の趣がある。
このように訴えが多く、ひとつの薬方証に収まらないときはどうするかというと、「傷寒論」にのっただとって、薬方の持つ「証」に糾して、症状を整理しなおすことになります。
眩量、立ちくらみ、動悸、耳なり、頭痛、下肢の冷え等一連の症状と過去の帝王切開を考慮して、連珠飲(苓桂市甘湯合四物湯)を選びます。ところでそれと少しく異なる症状の両肩こり、背痛、乾嘔、頻尿は何の証なのか?特に太ももだけの冷や汗は何を意味するのでしょうか?
私はこれを身体の一部分の汗、即ち発汗の状態が「水気の欠乏によるもの」と断じて、柴胡桂枝乾姜湯と想定しました。もともと柴胡桂枝乾姜湯は小陽部位の薬方で、のぼせがあって全身の水気が少ないため、首から上にだけ発汗することが目標なのですが、この場合のような例外もあるのではないかと考えたわけです。
これら2方を交互に服用することによって、約1ヶ月後には頭痛と眩量等が消失し、両肩こりも気にならなくなった。時々休みながらも服用し続けた1年後の現在、生理不順を最後に全ての症状は消え、人が変わったように快活になった。
振り返ってみると、これは太陰に近い連珠飲証と、少陽虚証の柴胡桂枝乾姜湯証との併存がなせる業でした。本人の様々な訴えと私の診た客観的な観察とを混迷させたままではだめでしたので、頭に浮かべた薬方証を基礎に、分離、整理しなおして、2種の薬方を選び出す方法をとりました。
〈月経前後の頭重感とむくみが完治〉
会社員のMさん(23歳・女性)は、貧血気味で冷え症です。
そして、月経前後には体がとてもむくみ、頭が重だるくなる症状が続いていました。ほかに、頻尿や月経痛もありました。
漢方医の診断により、Mさんには当帰芍薬散が処方されました。Mさんのように血の道症でむくみがあり、貧血がある人には、当帰芍薬散や四物湯がよく用いられるとのことでした。
服用を始めると、まず月経痛が楽になり、次いで冷え症が改善されました。しばらくすると、頻尿が治って、ついには、むくみや頭重感などの症状も出なくなったそうです。