●三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう) 血(けつ)の異常を取り除き、止血効果にも優れた漢方の即効薬!
〈高血圧〉
60歳、男性、会社役員。
20年以上前から肩こりが激しく、パップ剤を用いたり、マッサージなどで対処してきた。2年前の検診で高血圧(162/98oHg)を指摘され、カルシウム拮抗剤などの降圧剤を投与されているが、降圧剤を服用するようになってからかえって疲れがとれにくくなり、肩こりも一向に改善しない。平素から暑がりで、冬でもズボン下をはくのは嫌いである。便秘傾向があり、口内炎が頻発する。心の陽気が病的に過剰で、しかも心下居硬と便秘傾向がみられることから、三黄濁心湯を投与した。これまで服用していたニフェジピンは半量にすることにし、体重の減量を指示した。2ヶ月後には肩こりは半減し、気分も爽快となった。血圧128/84oHgとなったため、ニフェジピンは全量中止とし、三黄濁心湯のみで経過を追うことにした。
〈不眠〉
18歳女子、受験生。
推薦入学のため、面接を受けに行ったが、質問にうまく答えることができず、もうダメだと思ったとたん頭に血がのぼったようにカッとし、激しく動悸がしたと言います。帰宅した夜、39度の熱が出て体中が痛み、眠れず、翌朝熱は下がったものの気分がイライラしておちつきません。顔はほてって動悸もします。その日もよく眠れませんでした。来院したときはこのような症状が3日も続いているとのことでした。顔面は紅潮し、目は充血し、胸苦しいと言ってはときどきため息をつきます。4日間排便もないというので三黄鴻心湯を服用させましたところ服用当日は変化はありませんでしたが、翌日、排便とともに気分がよくなり、体や顔の熱感がとれ、気持ちがおちついてかなり眠れたと言います。
〈三黄瀉心湯で命拾い〉
鉄工所に勤めるAさん(48歳・男性)は、身長180cmの偉丈夫で大酒飲みですが、ここ数年、体調が優れません。
先日、居酒屋で飲んでいると息切れと動悸が激しくなり、救急車で病院へ運ばれました。医師の指示は「心臓が弱っているので、酒を控え、定期的に病院で検査を受けるように」とのこと。しかし、Aさんは酒をやめられず、病院の定期検査も敬遠しがちになりました。
心配した奥さんが、漢方薬局にAさんを連れていくと、三黄瀉心湯を処方されました。半年間日踊したところ、Aさんの体調は回復し、今は仕事に励んでいます。「酒はやめられませんが、この薬で命拾いをしました」とAさんは言っています。