柴胡桂枝湯の症例・治例

この症例に近い病症の方は、この方剤を用いることをお奨めします。

●柴胡桂枝湯（さいこけいしとう）　 後期の風邪からストレス性の病気まで幅広く有効な良薬！

〈猩紅熱〉

4歳の男の子。
もともと細い身体だが、活発で動きの激しい子。かぜをひいて医師の治療を受けたが、順調とはいえず、高熱はいったん下がっても午後には上昇し、医師を手こずらせた。尿の検査で潜血反応があり、溶連菌の感染を告げられた。その後、どうやら解熱してお母さんについてやって来たが、真っ青な顔をしていていつものような元気がない。今でも時々熱が出るらしい。体質をよく知っている子なので、すぐ柴胡桂枝湯をすすめた。やがて元気を取り戻し、1ヶ月後には、溶連菌の再検査の話は立ち消えになった。医師はその経過から、何かを服用したことに気づき、しきりと聞きたがったという。私は公開することを許した。
(注)溶連菌感染症は、溶血性連鎖球菌感染のことで、近年は、臨床医の間では「猩紅熱」を意味する病名として用いられることが多いので注意を要する。

〈虚弱体質〉

5歳の男児。平素より風邪をひきやすい。体格はやややせ型で、食事の量はやや少ない。性格は神経質とのことである。よくのどが赤くなり、痛みがあるとのこと、熱も出る。又咳も長引く、汗をかきやすい。以上から柴胡桂枝湯を与えてみた。1年後の冬は、ほとんど風邪をひかなくなり、2年後の冬もとても調子がよいとのこと。その後、体重も増え、体格もよくなった。3年間服用し、全快した。

〈肋間神経痛が1週間で完治〉

Eさん(43歳・男性)は、右の肋骨下が痛むようになり、腕を上げることができなくなっていました。
外科では肋間神経痛と診断されましたが、Eさんは漢方薬での治療を望み、知人が営む漢方薬局に相談しました。
口が苦くなるなど少陽病の諸症状があったことから、柴胡桂枝湯が煎じ薬で与えられました。
1週間ほど服用を続けたところ、口苦や痛みが治まり、まったく生活に支障なく幼くことができるようになったということです。

〈数年采の耳鳴りが異なった漢方薬の併用で治った〉

また、W代さん(67歳)は3年前から両耳の耳鳴りに悩まされていました。
W代さんの耳鳴りは、左右で音が違う上に音がかなり大きく、日常生活に支障を来たすほどでした。W代さんには、朝に真武湯、昼に柴胡桂枝湯、夜には釣藤散が処方されました。
これを服用するようになって4ヵ月後には、音が気にならなくなっていました。さらに6ヵ月後には、日常生活に全く支障のない程度にまで軽減されたのです。現在は予防のために、同じ処方を飲み続けています。