●柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) 神経質な実証タイプに向く漢方の代表的精神安定剤!
〈発表会であがってしまう小学生〉
小学4年生の女子。体重30kgの小柄なタイプ。
母親が来店しました。ピアノの発表会の時はあがって、鍵盤もよく見えないとのことなので、前夜から柴胡加竜骨牡蛎湯1包、当日の朝1包、発表会の1時間前にもう1包を服用させました。今回はふだんと変わらずにできたとお礼を言われました。
〈こしけ〉
あまり血色のよくない肥満した婦人が、胃が悪いと言って来院した。
主訴は、いつも胃が重く、胸がつかえているというのであるが、その他に胸やけ、肩のこり、めまいもあるという。大便は便秘の傾向がある。腹診するに、腹部は全般に膨満し、とくに心下部がはっている。大柴胡湯にしようかとも考えたが、柴胡加竜骨牡蛎湯にした。これを2週間ほど飲んだ時、患者はいった。「先生、あの薬はこしけにも効きますか、こしけが止まりました。」患者は、私にこしけの下りることを話さなかった、よほど嬉しかったらしい。他の症状もこの処方で軽快したことはもちろんである。
〈バセドウ氏病〉
50歳の男性会社員。
動悸、多汗気味、.微熱の持続、不眠などがあり、病院で精密検査をうけたところ、甲状腺の機能亢進症といわれた。便通や血圧には異常がないが、胃のあたりが膨満して苦しいという。柴胡加竜骨牡蛎湯を与えたところ、約1ヶ月の服用により、ほとんどの症状がよくなった。血色もよくなり、現在は元気に仕事に励んでいると報告をうけた。
〈漢方薬で便秘以外の症状も改善〉
営業マンのEさん(34歳)は、慢性の便秘を気にしていましたが、客先でトイレを借りるわけにもいかず、下剤も飲めません。
そこで、漢方クリニックで相談すると、医師はEさんの不調の原因をストレスであると診断し、柴胡加竜骨牡蛎湯を処方しました。これはEさんにはまったく意外なことでした。本人にとっては便秘だけが問題であり、そのほかのことはあまり気にしていなかったからです。服用を続けて1ヵ月、便秘が改善するとともに、頑固な肩こりや不眠、高血圧などの症状も治まっていました。