●加味逍遙散(かみしょうようさん) 女性特有の病気に効く漢方の名薬!
〈更年期障害〉
38歳、主婦。
子どもは2人であるが、人工流産の経験がある。生理不順イライラして、不眠となり、夫婦げんかもときどきするという。体もだるく、仕事をするのがいやで家出したいくらい苦しいと訴える。肩こり、頭重、めまい、便秘、食欲不振、倦怠感など不定愁訴がそろっていて、加味逍遙散証の教科書のような人である。回方を服用して、半月ほどですっかり元気になり、冗談もいえるほど明朗になった。
〈性生活の不調〉
51歳のA子さんは、閉経して半年になりますが、閉経したら愛液の出方がぐっと減るのでしょうかを質問されました。
閉経すると女性ホルモンの分泌が少なくなりますから、当然愛液の分泌も減少してはいますが、ある日突然ばったりなくなってしまうということはなく、徐々に枯れてゆくものです。A子さんは分泌の減少の他にポーツと顔がのぼせて、そのあと汗が出て寒くなるいわゆる冷えのぼせがあり、足先が冷たく暖めてもなかなか温まらないといいます。足先からお腹まで冷やさないようにすること、食事や飲物に注意することとともに、加味逍遙散をのんでもらいました。1ヶ月ほどたって冷えのぼせが軽くなり、足も温かくなってさましたら、愛液の分泌もよくなり、ほっとしましたと喜ぶと同時に、「冷え」の恐ろしさを痛感しましたといわれました。
〈夢の中でもイライラする〉
Hさん(60歳・女性)はイライラして落ち着かず、眠りも浅く、夢の中でもイライラするほどでした。毎年、春先になると、1日に3回ぐらいイライラして、精神不安に襲われます。病院では特に異常はないといわれ、漢方専門の薬局に相談に行きました。
薬剤師から「夢を見ずに眠れるようにしましょう」といわれ、加味逍遙散と就寝前にだけ服用する桂枝加竜骨牡蛎湯を処方されました。その後、半年たった今では、3日に1度軽いイライラがある程度にまで回復しました。
〈再び月経が起こり、気力も回復〉
食品会社に勤めるTさん(52歳・女性)は、月経が止まって数ヵ月が過ぎていました。
気分は落ち着かず、イライラして、生きるのも苦痛という、そんな状態が続いていたそうです。次第にやる気が失せ、仕事にも行かなくなってしまいました。初めてS病院に来たのは知り合いの紹介でした。以前友人がお世話になったということで、漢方薬を処方してくれる婦人科系の病院を選んだようです。
医者がTさんの症状をみると、目はつり上がり(怒っているような雰囲気)、手足は冷たく、のぼせがありました。そこで、加味逍遙散と甘麦大棗湯の2つが処方されることになったのです。
毎日欠かさず1ヵ月間、両処方を飲み続けたところ、気力が回復し仕事に行けるようになりました。
2ヵ月もすると、今度は体から冷えが取れ、月経が再び来たそうです。これは、漢方薬を飲んだことで、一度止まったと思われていた月経が再び起こり、体にたまった汚いものを全て洗い流してくれたのです。それ以降、気分は明るくなり、今まで以上に活発な生活を送っているそうです。
〈1ヵ月で不快な症状がすっかり消失〉
専業主婦のS子さん(49歳)は、最近、生理が不順で途絶えがちになるとともに、イライラすることが多くなり、それまでほとんど起こることのなかった肩こりをはじめ、頭重感、めまい、不眠、動悸、食欲不振、全身のだるさなど、いろいろな症状が入れ代わり現れるようになりました。
更年期のつらさは、母親から聞いて知っているつもりでしたが、自分の身に降りかかって初めて、実感として分かったのです。
子どもの学校の心配事や、町内のもめごとが重なったこともあって、精神的にも参っていたのですが、漢方薬の加味逍遙散を飲み始めると、不快な症状が徐々に消え、イライラすることがすっかりなくなりました。S子さんは、1ヵ月ほどで元気を取り戻しました。
〈心因性蕁麻疹(じんましん)も漢方薬で改善〉
Wさん(35歳・女性)は、毎週月曜の朝、蕁麻疹(じんましん)に悩まされるという日々を送っていました。漢方を扱う医師に相談すると、Wさんが日ごろから抱えてい
る職場のストレスが原因と診断されました。体カも落ちて冷えがあるWさんに処方されたのは、気と血の異常を改善する加味逍遙散でした。
この薬を服用して2週間後、Wさんは体調がよくなり、精神的にも落ち着いて、蕁麻疹(じんましん)の症状も薬を飲む必要がない
ほど改善しました。やがてWさんはストレスの元だった仕事を辞め、蕁麻疹(じんましん)とも完全に縁が切れたということです。